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鏡と深部感覚

先日「運動能力」を構成する要素の一つとして「深部感覚」をあげました。

これはいわゆる五感には含まれません。

五感とは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のことです。これらはいずれもからだの外の情報を感じとるセンサーのことです。「表層感覚」といってもいいかもしれません。

では「深部感覚」とはどんな感覚のことかというと、からだの中を感じ取る感覚のことです。

早速実験してみましょう。

【実験】
目をつぶって、右手を前に水平に伸ばしてください。
そこから30度下げてください。
さらに30度下げてください。
さらに30度下げてください。

はい、手は真下まで降りてきました。

目を閉じて手を動かしているので自分では確認できませんが、誰かに見てもらえば、だいたい狙った角度通りに手が動いていたと思います。

これって目で見ていないのに不思議ではありませんか。

目以外の何かで手の角度を感じていたはずですね。

その何かが「深部感覚」です。

深部感覚は何も手だけにあるわけではなく、足にも、首にも、背中にも、要するに全身にちりばめられています。

全身にあるから、いちいち目でからだ全体を眺めなくても、だいたい右足がどこでどうなっている、首がどうなっている、背中がどうなっているのかわかるわけです。

レッスン中、やたらと鏡を眺めてからだのラインやポジションを気にしている人がいます。そういう人は、視覚に頼ってからだの各部位の位置をコントロールしようとしていることになります。

これでは、せっかくの深部感覚の出番が少なくなってしまいます。

実際、からだを動かすときに、つねに視覚に頼って動かすのは現実的ではありません。

だいたいステージに鏡はありません。視覚に頼らないと、からだの修正ができないとするとステージでははちゃめちゃな動きをしていることになります。

レッスンでは、鏡を見る前に深部感覚に聴いてから鏡で確認するようにしてみると、ずいぶんと深部感覚が鍛えられてきます。

深部感覚が鋭くなってくると、鏡を見なくても、つま先が鎌になっているとか、骨盤が開いているとか、アゴが出ているといったことが直接感じとれるようになるので、上達が早くなります。

いっぽう、鏡で確認するクセがついているひとは、なかなか深部感覚が鋭くなってこないので、鏡の前では何とかなっても、そうでなければはちゃめちゃになりがちです。

たとえば、センターレッスンで先生に「足が鎌になっているよ」といわれたとして、自分ではそんなこと無いと思っていても、足先に目をやると「あっ、鎌だった」なんてことになります。視覚で確認しないとわからないというわけです。

ということは、上達したければ、深部感覚を鍛えるようにレッスンを受ける工夫が必要ということになります。

続く...

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